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単色の夢
「負けると泣くの、悪い癖だよ?」 「うぅっ」 「ヒッヒッヒ。俺の9勝目だペコ!」 「ふんっ。でも俺は20勝してるかんな!」 「19勝だよペコ」 「変わんねぇよ!」 「変わんよ!!」 「うっせぇ馬鹿ガキ共!!ちったぁ静かに打て!!」 タムラにオババの怒鳴り声が響いた。 「じゃあなオババ。明日こそ教えれよっ裏の捌き方!」 タムラから出ると空はオレンジ色で少し肌寒かった。 「ヒヒヒっ。何だよペコ、そんなに俺様に負けたのが悔しいんかぁ?ヒヒヒ」 アクマが掌を目の上でかざすポーズで先を歩くペコに言った。 ペコはそれを無視して膨れっ面で歩いていく。 原因のゲームはペコがデュースで落としたラストで決まった。 ファーストはペコがテンハンで勝ち、セカンドは油断したペコがアクマに負けた。 それは唯の遊びのゲームで 二人の後を歩くスマイルには二人の必要以上な喜びも悔しさも理解できない。 潮風の冷たさに肩をすくめながら歩く。 「あの馬鹿、今日も飛び込むぜきっと。ヒヒヒっ」 それもペコの悪い癖 案の定いつもの橋に一足早くたどり着いたペコは潰れたランドセルを道に放り出して欄干によじ登っていた。 「やめなよペコ。風邪ひくよ?今日寒いし」 「見てれお前らっ!!正義のヒーローピンポンマンはこっから飛んであの月に触れるのだっ!!」 人差し指のずっと向こうに半透明の薄い月が見えた。 アクマは馬鹿にしたように スマイルは諦めたようにそれを見つめる。 「待ってろ月!!ヒーローはこの俺だっ!!!」 思い切り踏み切ったペコが宙へダイブした。 ランドセルに止まっていた赤とんぼが水音に飛び上がった。 世話の焼けるヒーローを拾いに二人は河原を降りる。 「いっきしっっ!!」 ずぶ濡れのペコがニッと笑って右手のピースを突き出した。 「見たか!おいらの月面タッチ!!」 言った途端にくしゃみを連発する。 「触ってねぇじゃんよ、バーカ」 いつの間にか月も輪郭をはっきり現して辺りは薄暗かった。 街頭が一つづつ灯っていく。 「ヒーロー復活!!」 いつものようにポーズを決める。 満面の笑みが空に叫ぶ。 「ヒーロー見参!!」 「しつけぇよ!」 「もうアクマには負けんよっ!!」 ムッとしてペコの頬を掴む。 「おーおーよく言うわっ」 負けじとアクマの頬を掴む。 「手ぇ離へコラ!」 「てめーこほ離へっ!」 「・・・帰らないの?」 遠くから鳴り響く鐘の音が聞こえる。 「もうアクマにゃ負けんからなっ!!」 夢を見た 次の日俺はアクマに負けた 昔の夢を見た END? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2003年某日 |