BUTTERFLY in the NIGHT

午前2時 蒸し暑い夜
麦茶の入ったコップを眺めながら考える数学の問題。
目の前の参考書には奇怪な記号が所狭しと並んでいる。
スマイルは諦めて参考書を閉じた。

静かな部屋に時計の音が響く。

開けっ放しの窓から何かが入り込んでコップの縁にとまった。

「…蝶?こんな夜中に…」

薄い青色の羽をたたんで動かなくなったそれに触れようとして手を伸ばす。
スマイルの手をかわして天井近くに舞い上がった。




軽い羽が空を切る。




『アーイキャーン フラーイッ!!』




スマイルの上を数回旋回してゆっくりと闇に溶けていった。
夜の蝶が明るい月を目指して飛んでいく。

それを見送って窓を閉めた。
受話器を取る。
低い機械音をしばらく聞いてうろ覚えの番号を押していく。




ナ ァ キ イ テ




3回も鳴らないうちにコールの音が切れた。


「ハーイヨ。もしかしてスマイル?」

真夜中とは思えないペコの声。

「…もしかしなくても僕」

「やっぱな!おいらも今電話しようとしてたんよ?」



真夜中に蝶が呼ぶ。



「…うん。なんとなくそうだと思った。だからかけたんだけど」

「おめー滅多にかけねぇもんなー。電話」

「そんな事よりなんか用あったんじゃないの?電話かけるくらいの」




くだらない話をするために。




「ナイ!」

「…」
「暇だったからかけた…んじゃなくてかけようとしてたんよ」

「…なら寝なよ」

「寝れねんだなーこれが!」





忘れられたコップの氷が音をたてて溶けた。





「そーゆースマイルは何やってたんさ、今まで」

「宿題」

「うわ。正気?」

「…切るよ」

「わっ!待った待った!!ウソだって」







真夜中に蝶が呼ぶ。






付き合うよ。





君が飽きるまで。





END


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2003年某日
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