|
もしも世界中が敵にまわったなら
アオゾラ。 |
|
ザァっと風が流れた。 木々が揺らめき、花びらが散り葉が散り
思わず、振り返った。
「今日は、雨かしら・・・。」
ふと、こぼした言葉も風にさらわれる。
そういえば、最近めっきりと春めいて
青く澄んだ空も、すっかり灰色の雲に覆われて
ああ、でも
嫌いではない。
家では、こんな天気になってしまったことで、可愛い可愛い愛娘がしょげているころだろうか。
そんなことはないわ。
そういって頭をなでて、抱きしめてあげたいけれど。
今家に帰ると、それこそ彼女のご機嫌を損ねてしまいそうだ。
気ままにCD屋へ行ったり、本屋を覗いたり
「少し、肌寒くなってきたかしら・・・。」
あらかじめ鞄に忍ばせてきたショールをはおった。
何故だろう、こんなにも憂鬱にさせてしまうような空模様なのに
ザァァっと、流れる。
この世界。
それならば、敵であるこの世界を、わたしは守る。
だって、この世界には
あなたが、いるのだから。
そう誓いを立てたのは、いつのことであったか。
わたしは、心の叫びを音に乗せて表現することしか知らないから
でも、今日はこんなお天気のせいか、人通りはとても少ないことだし
・・・ラン
・・・ラン、ラン・・・ラン・・・
少しだけ、口ずさんでみよう。
ラン、ラン、ラン、ラン・・・
雨が、ぽつり、ぽつり・・・
髪の毛をつたって、小さな玉になって落ちる雫が、宝石みたいだ。
足取りも、テンポよく弾んで
向かった、その先の小さな公園に
「どうしたんだ?いやにご機嫌だね。」
あなたがいること、知っていたからよ。
「なんでもないわ。」
その時手にした感情は、きっとあなたすらわからないものだから。
「ひどいな。」
ちょっとすねたような顔をして、ヘルメットを手渡してくれる。
「ありがとう。きっと、あなたもそのうちわかるかもしれなくてよ。」
それまでは、わたしだけの秘密。
「それよりも、準備はもうできて?」
雨道を走り出す。
でも、わたしの心の中は
これ以上にない、素敵な青空。 |