| 救いない夢だ-------かぎりない障りが あなたと我が運命を隔てている。 かくて、我が情熱は目覚め騒ぎやまぬが あなたのこころには、常に安らぎがあるように。 Mellow mellow |
「・・・天王さん?いくら暖かくなってきたとはいえ、 そんなところでうたた寝してしまっては、いくらあなたでも風邪をひいてしまうわよ?」 冬の厳しい寒さがようやくおさまってきた。 そんな中、冷たいアスファルトの壁を背にもたれかかり体を休めていたら 上から、優しい彼女の言葉が僕に降り注ぐ。 「ん、ああ、みちるちゃん・・・。」 どこか棘のある言い方に苦笑しつつ、ヘルメットを片手に立ち上がる。 「忘れ物よ。」 と手渡してくれた。 「ありがとう。」 そう言って、受け取る。 「今日のご予定は、すべて終わったの?」 だから、子猫ちゃん達のお相手をしている時間が、 「なんだよ、今日の君はやけに一言多いんだな。もしかして、妬いてるとか?」 単なる冗談のつもりで言った僕の言葉を聞いて、彼女は意味ありげに笑い、 「そうかもね。」 と答えた。 まだ彼女と出会って数ヶ月、初めての冬を終えようとしている頃のこと。 そんな日常がとても幸せで 一週間に一度という少ない頻度で出現する敵と、 彼女の言葉に幾度となく救われながら、ここまで来た。 彼女はいつだって優しく そんな彼女に、僕は敬愛の念を抱くと共に 妬いているのかと、軽く言ったつもりの僕の言葉を素直に返されて、 「・・・天王さん。」 夕日でオレンジ色に染まっているアスファルトの上を二人並んで歩いていたとき 「何?」 沈黙。 「!!それは・・・。」 この世の破滅が、近い。 「そう、私たちに架せられた使命が、迫ってきている。 前に立ち、真っ直ぐ僕の目を射抜いてくる。 「あなたにとって、これが、最期のチャンスなの・・・。」 何の?一体僕にとって何の? 「あなたが、セーラー戦士としてではなく・・・」 戦士として、君と共に生きることではなく 「使命にしばられることなく、あなたの本当の夢を、追いかけることができる最期の・・・。」 独りでまた僕も君も独りぼっちになって、生活する日々を 「最期の、チャンスなのよ・・・。」 再び始めろと、いうのか 「・・・もし、僕がここで使命を放り出し、戦士ではない自分に戻りたいと言ったら、 一瞬、その碧い瞳が揺らぐ。 「私に、世界を破滅から救うこと以外の夢は・・・一つも、ないわ・・・。」 そう力強く、また自分自身に言い聞かせるように 呟いた。 「嘘。」 僕は、バイオリンの入ったケースを持つ手ではない方の彼女の手を、 「僕には分かる。 そっと口元に持ってきて、甲にキスを落とす。軽く。 「僕は、そんな君の手が好きだよ。」 彼女は、困ったように笑った。 「どうして君がまた独りで苦しまなければならない? そして、 「僕は、君をもう独りで戦わせたくない。」 破滅の幻影の中で、君が言った。 パートナーだからとか、同じ戦士だからとか、そういうことではなく 君と、一緒にいたいから。 君のいない世界なんて 「・・・ありがとう、天王さん。」 優しく、微笑んでくれる君のことが 「それ、いい加減やめないか?」 こんなにも 「何を?」 僕の心を占めている 「天王さん。なんか、調子が狂う。 良く出来ました、というと、彼女はいたずらっぽい笑みをその顔に浮かべた。 「じゃあ、私のことは?」 咳払いを一つして、 「・・・みちる。」 大変、良く出来ましたと満足そうに言った。 彼女の名前をこう呼ぶだけでなんだかくすぐったくなってしまう、 恥ずかしくも、結構好きだったりもする。 いまだ手は繋がれたまま、再び僕らは歩き出した。 ただひとたび、思いがせまって 夜半に眼をとざしても、むだである 救いない夢だ-------かぎりない障りが もともとは、ホワイトデー小説にするつもりだったのですが・・・ どこが?って感じですね・・・ みちるの、『かわいい子猫ちゃん達への用事はすっかりお済みになったようね』 というセリフは、その名残です。 本当は、みちるがはるかにバレンタインにチョコあげたとか、 はるかからのみちるへの甘いホワイトデープレゼントとか・・・ いっぱい考えていたんですが・・・ まぁ、手の甲にキスさせたから、いいか・・・なんて・・・ 計画倒れもいいとこです、ごめんなさいでした・・・。 いまだにラブラブ小説が書けてないのも、悩みの種の、一つでもあります。 ちなみに時間設定は、はるかとみちるが十番に来る直前、ってとこですね。 あ、引用した詩は今回もバイロンのもので、 ・・・?『あるひとに』・・・だったかな?(汗) あろで調べます(滝汗) |